STP分析とは?マーケティングでのやり方やタイミング、関連フレームワークを解説

公開:2026.3.11

更新:2026.3.11

STP分析は、市場を細分化しターゲットを明確にする基本的なマーケティングフレームワークです。企業が効果的なマーケティング戦略を立案するうえで重要な役割を果たす手法であり、正しく活用すれば自社の強みを活かした競合との差別化戦略を構築できます。


この記事では、STP分析の基本的な概要やメリット、具体的なやり方などを解説します。企業事例も紹介しているため、マーケティング戦略の立案にぜひ活用しましょう。


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STP分析とは?


STP分析は、マーケティング戦略を立てる際に使われる基本的なフレームワークです。アメリカの経営学者フィリップ・コトラー氏が体系化・普及させた考え方で、商品を売り出す前に市場の全体像を把握し、効率的に利益を上げるために活用されます。


STP分析は、以下3つの頭文字を取って名付けられています。


  • Segmentation(セグメンテーション)

  • Targeting(ターゲティング)

  • Positioning(ポジショニング)


市場を細かく分け、その中から狙うべき顧客層を選び、競合との違いを明確にするという流れで進める点が特徴です。


STP分析を行うことで、どの市場にどんなニーズがあるのか、どうアプローチすれば効果的か、競合とどう差別化すればいいのかが明確になります。その結果、限られた予算や人材を無駄なく活用できるようになるメリットがあります。


STP分析のメリット


STP分析を活用することで、マーケティング活動の精度が向上し、無駄なコストを削減しながら成果を最大化できます。


  • 顧客ニーズを把握できる

  • 自社の強みを明確にできる

  • 競合他社と差別化できる

  • マーケティング戦略の方向性が明確になる


以下で、STP分析のメリットを詳しく解説します。


顧客ニーズを把握できる


市場を細分化する過程で、各グループにどのような顧客が存在し、何を求めているのかが明らかになります。全体像を把握することで、自社商品に関心を持つ顧客層を見つけやすくなるでしょう。


顧客ニーズを正確に理解すれば、具体的なペルソナ設定が可能となり、訴求力のあるメッセージ設計や商品開発につなげられます。


自社の強みを明確にできる


STP分析を進めることで、自社が持つ独自性や優位性が浮き彫りになり、どこで勝負すべきかがはっきりします。自社の強みを理解することで、効果的なアピールポイントが明確になります。


また、優位性のある市場を選択でき、限られたリソースを効率的に配分できる点もメリットです。STP分析を定期的に見直すことで、市場変化に対応しながら競争力を維持できます。


競合他社と差別化できる


競合製品を価格や機能、品質といった観点から比較し、自社製品ならではの価値を明確にできるのが強みです。ポジショニング分析により、競合が手薄な領域や見落としている顧客ニーズを発見できます。


自社製品が優れていても、すでに強力な競合が存在する場合は、競合が集中する市場を避けた領域を選ぶことが可能です。競合との過度な競争を回避することで、自社が優位に立てる市場でシェアを獲得しやすくなるのもメリットの1つです。


マーケティング戦略の方向性が明確になる


STP分析を通じて、どの立場から自社製品をアピールしていくのかといった、具体的な指針が整理されるのがメリットです。戦略を明確に言語化することで、組織全体で共通認識を持ちやすくなり、各部署が一貫した方針で行動できる環境が整います。


ターゲットとなる顧客への最適なアプローチ方法が見えてくるため、効果的なプロモーション活動を展開でき、早期の売上向上が期待できます。


なお、より効果的なマーケティング戦略を立案するために、マーケティングツールやデータ分析ツールを活用することも有効な手段の1つです。マーケティングに関する情報収集やツールの把握には、展示会への来場も検討してみはいかがでしょうか。


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STP分析のやり方



STP分析は、以下の3つのステップに沿って進める分析手法です。


  • セグメンテーション

  • ターゲティング

  • ポジショニング


以下で、それぞれのやり方を解説します。


セグメンテーション


セグメンテーションとは、市場全体を何らかの基準で細かく分けていく作業であり、似たようなニーズや特性を持つ顧客層ごとにグループ化します。


変数の種類

内容

具体例

デモグラフィック

(人口統計的変数)

性別、年齢、家族構成、職業、収入など個人の基本情報

30代女性・年収600万円以上・子供が2人の世帯

ジオグラフィック

(地理的変数)

国、地域、都市、気候、文化など地理的な条件

大阪府在住・東京都勤務・寒冷地在住

サイコグラフィック

(心理的変数)

価値観、性格、ライフスタイル、趣味、嗜好など

健康志向・アウトドア好き・環境意識が高い

ビヘイビアル

(行動変数)

購買頻度、使用用途、購入のタイミング、利用経験など

月1回購入・リピート率が高い・新商品を試す傾向


細分化した後は、4Rの原則(優先順位・有効な市場規模・到達可能性・測定可能性の観点)を用いて各セグメントが狙うべき市場として適切かを評価します。


ターゲティング


ターゲティングとは、細分化した市場の中から、自社が実際に狙うべき市場を選び出す作業です。市場規模の大きさや成長性の見込み、競合の状況、自社の強みが活かせるかどうかといった観点から判断します。


手法

特徴

集中型マーケティング

特定の市場に絞り込んでリソースを集中投下する

差別型マーケティング

複数の市場に対してそれぞれ異なる商品・サービスを提供する

無差別型マーケティング

市場を区別せず同じ商品・サービスを広く提供する


これら3つのマーケティング戦略を検討し、自社のリソースや商品特性に合った方針を選択しましょう。


ポジショニング


ポジショニングとは、選定した市場の中で、競合他社と比較しながら自社の立ち位置を決める作業のことです。価格や品質、機能、販売チャネルなどをもとに2つの軸を設定したポジショニングマップを作成し、自社と競合の位置関係を可視化します。


競合が手薄な領域や、自社の強みを最大限に発揮できるポジションを見つけることで、差別化を図りやすくなるでしょう。データに基づいて客観的に分析し、一度に多くの指標を比較せずシンプルに整理することがポイントです。


STP分析を行うタイミング


STP分析は、マーケティング戦略の立案プロセスにおいて「環境分析の後」かつ「具体的な施策決定の前」に実施するのが効果的です。


SWOT分析やPEST分析といった環境分析を行い、外部環境や内部環境を把握してから市場細分化を進めることで、より精度の高いターゲット選定が可能になります。


STP分析でターゲットと自社の立ち位置を明確にした後、4P分析などのマーケティングミックスで具体的な施策を決定していく流れが一般的です。


ターゲットが定まっていない状態で施策を検討しても、効果的なアプローチは難しいため、以下の順序を意識しましょう。


  1. 環境分析

  2. STP分析

  3. マーケティングミックス


STP分析と4P分析は連動しているため、基本的な順序を意識しつつ、両者を行き来しながら同時並行で進めると効率的に戦略を立案できます。


マーケティングミックスについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。


▶︎関連記事:マーケティングミックスとは何?どんな種類がある?気になる部分を解説


STP分析と組み合わせるフレームワーク


STP分析だけでは不十分な場合もあるため、他のフレームワークと組み合わせることで、より精度の高いマーケティング戦略を立案できます。


STP分析と組み合わせて活用できるフレームワークは、以下のとおりです。


  • 3C分析

  • SWOT分析

  • PEST分析

  • 4P分析

  • 4C分析


それぞれのフレームワークを見ていきましょう。


3C分析


3C分析とは、以下3つの視点から、市場環境と自社の立ち位置を総合的に把握する分析フレームワークです。


  • Customer(顧客・市場)

  • Competitor(競合)

  • Company(自社)


顧客分析では市場規模や成長性、顧客ニーズや購買行動を整理し、競合分析では競合他社のシェアや戦略、強み・弱みを明らかにするという流れで進めます。


自社分析では商品の特徴や資本力、リソースの状況を洗い出し、競争優位性を築ける要素を特定していくことがポイントです。


SWOT分析


SWOT分析は、以下4項目から企業の現状を把握するフレームワークです。


  • 内部環境のStrength(強み)とWeakness(弱み)

  • 外部環境のOpportunity(機会)とThreat(脅威)


外部環境を先に分析して市場の機会や脅威を洗い出し、次に内部環境を分析することで自社の強みや弱みを客観的に整理できる点が特徴です。


PEST分析


PEST分析とは、以下4要素からマクロ環境を分析するためのフレームワークです。


  • Politics(政治):法律や規制の変化

  • Economy(経済):景気動向や為替レート

  • Society(社会):人口動態やライフスタイルの変化

  • Technology(技術):技術革新や新技術の普及


PEST分析を行うことで、自社がコントロールできない外部環境の変化を把握でき、市場参入戦略や製品開発の方向性を検討する基盤が整います。


4P分析


4P分析とは、以下4要素から企業視点でマーケティング施策を設計するフレームワークです。


  • Product(製品)

  • Price(価格)

  • Place(流通)

  • Promotion(販促)


製品では顧客に提供する価値や品質を整理し、価格では適正な価格設定や競合との価格水準の比較を検討する必要があります。流通では販売チャネルや提供方法を整理し、販促では広告や宣伝の手法を検討していくことが基本です。


4P分析は企業側の視点が強いため、顧客視点の4C分析と組み合わせることで、企業と顧客の両方の視点を考慮した包括的な戦略を立案できます。


4P分析についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。


▶︎関連記事:4Pとは?4C・3Cとの違いやマーケティングにおける考え方をわかりやすく解説


4C分析


4C分析とは、以下4要素から顧客視点でマーケティング戦略を構築するフレームワークです。


  • Customer Value(顧客価値):顧客が受け取る便益や満足度

  • Cost(顧客コスト):金銭的・時間的負担

  • Convenience(利便性):購入や利用のしやすさ

  • Communication(コミュニケーション):企業と顧客の双方向の対話


4C分析は顧客視点を重視するフレームワークであり、企業視点の4P分析と対比させることで、自社の施策が顧客のニーズに合致しているかを検証しやすくなるのが強みです。


STP分析の注意点


STP分析は効果的な戦略立案に役立ちますが、実施時にはいくつか注意すべき点が存在します。


  • STP分析のみで判断しない

  • 市場規模を確認する

  • 実施順序にこだわりすぎない

  • 顧客視点を忘れない


それぞれのポイントを見ていきましょう。


STP分析のみで判断しない


STP分析だけに頼らず、SWOT分析や3C分析など他の手法も併用することで、外部環境と内部資源を多角的に評価できます。


分析して終わりではなく、得られた知見を製品開発・価格設定・プロモーション活動といった具体的な施策に落とし込むことが重要です。


魅力的なポジションを見つけても市場規模が小さければ収益は見込めないため、複数のデータで検証し、本当に狙うべき市場か慎重に判断する必要があります。


市場規模を確認する


STP分析で最適なポジションを発見しても、市場が十分な規模と成長性を持たなければ収益化は困難です。そのため、市場調査データや統計資料を活用し、対象市場の規模を定量的に把握しましょう。


現在の市場規模だけでなく将来的な成長率も確認し、技術革新や人口動態などのマクロ要因を踏まえて、持続的に拡大が見込める市場かを見極める必要があります。


実施順序にこだわりすぎない


STP分析は「S→T→P」の順序で進めるのが一般的ですが、必ずしもこの流れに固執する必要はなく、ポジショニングやターゲティングから着手しても問題ありません。


各要素は密接に連動しているため、分析の順序そのものよりも、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの整合性を保つことが重要です。柔軟に順序を変えながら進めることで分析の停滞を回避でき、効率的に戦略を構築できるでしょう。


顧客視点を忘れない


自社製品の特徴ばかりに注目せず、顧客が何を求め、どのような価値を感じているのかを常に意識して分析することで、より適切なセグメンテーションとポジショニングが可能になります。


顧客の購買行動や意思決定プロセスを深く理解し、アンケートやインタビューを通じて具体的なニーズを把握することが戦略の精度を高める重要なポイントです。


売り手側の感覚だけで判断すると、顧客ニーズとのギャップが生じるため、データに基づいた客観的な分析を行うことを心がけましょう。


STP分析を活用した企業のマーケティング事例


STP分析は理論だけでなく、実際の事例を見ることで理解が深まる手法です。以下では、代表的な事例をもとに、STP分析がどのように活用されているかを整理します。


  • スターバックスの事例

  • ユニクロの事例

  • マクドナルドの事例


それぞれの事例を見ていきましょう。


スターバックスの事例


スターバックスは、商品の提供だけでなく、体験や価値を重視した考え方で市場を捉えていることが特徴です。

セグメンテーション

  • 10代後半~70代の男女別に細分化

  • 学生、会社員、公務員、自営業、ノマドワーカー、高齢者

  • 大都市、主要都市、地方都市、郊外

  • 経済的地位の高さ

ターゲティング

  • 大都市や主要都市で平均収入以上のオフィスワーカー

  • 朝:出勤前のオフィスワーカーや高齢者

  • 昼:ノマドワーカーや主婦

  • 夕方から夜:学生や帰宅前のオフィスワーカー

  • 休日:カップルや買い物途中の方

ポジショニング

  • 「コーヒーを飲む場所」ではなく「くつろげる空間」

  • 自宅・職場以外の「第三の場所(サードプレイス)」というポジション

  • オリジナルグッズなどの販売


STP分析を活用し、価格競争に巻き込まれない戦略設計を行っていると考えられます。競合のカフェやコンビニコーヒーとの差別化を図り、独自のポジションを確立している事例といえるでしょう。


ユニクロの事例


ユニクロは、ファッション性よりも「品質・機能性・価格のバランス」を重視し、日常生活に密着した価値を軸に市場を細分化しているのが特徴です。

セグメンテーション

  • 子供、学生、社会人、ファミリー、高齢者

  • 都市部、郊外、地方

  • 価格に対する意識や実用性重視の度合い

ターゲティング

  • 年齢・性別を限定せず、幅広い層を対象としたマスマーケット

  • 日常的に着用できる衣料を求める層

  • 機能性や品質を重視しつつ、価格にも納得感を求める消費者

  • ファミリー層やビジネスパーソンなど、継続的な購入が見込める層

ポジショニング

  • 流行に左右されにくい「ベーシックで実用的な衣料」

  • 高品質・高機能でありながら手に取りやすい価格帯

  • ヒートテックやエアリズムなど、独自の機能性商品による差別化

  • 「誰でも・いつでも・どこでも着られる服」という立ち位置


STP分析を活用し、特定の属性に絞り込まずに最大公約数を狙う戦略設計を行っています。競合アパレルブランドとの差別化を図り、日常着の定番ブランドとしてのポジション確立に成功しているといえる事例です。


マクドナルドの事例


マクドナルドは、低価格・利便性・スピードを軸に、幅広い顧客層を対象とした市場設計を行っているのが特徴です。

セグメンテーション

  • 子供、学生、社会人、ファミリー、高齢者

  • 都市部、郊外、ロードサイド

  • 価格感度や利便性への重視度

ターゲティング

  • 日常的に手軽な食事を求める幅広い層

  • ファミリー層:ハッピーセットやセットメニュー

  • 学生や若年層:低価格、ボリューム、手軽さ

  • 忙しいビジネスパーソン:朝食・ランチの短時間利用

ポジショニング

  • 安く・早く・手軽に食べられるファストフード

  • 子供から大人まで利用しやすい身近な飲食店

  • 店舗・ドライブスルー・テイクアウト・デリバリーなど利便性の高さ

  • 期間限定商品やコラボ施策による話題性の創出


STP分析を活用し、価格競争力と利便性を強みにした戦略設計を行っている様子がうかがえます。競合のファストフード店やコンビニとの差別化を図り、日常利用されるブランドとしてのポジション確立に成功しているといえる事例です。


まとめ


STP分析は、市場を細分化しターゲットを明確にする基本的なマーケティングフレームワークです。単独で完結させず、他の分析手法と組み合わせることで戦略の精度を高められます。


分析結果は具体的な施策へ落とし込み、市場規模や成長性を確認しながら実行することが重要です。より効率的な分析を進めるためには、マーケティングツールやデータ分析ツールの活用も検討すると良いでしょう。


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