新リース会計基準とは?いつから適用される?改正内容や対応方法も解説
公開:2026.3.11
更新:2026.3.11

2027年4月から、企業のリース取引に関する会計処理が大幅に変更されます。新リース会計基準の適用により、これまでオフバランス処理されていたオペレーティング・リースも、原則として全て貸借対照表に計上することが求められます。
この変更は、財務諸表や自己資本比率などの経営指標に影響を与えるだけでなく、経理担当者の業務負担も増えることが想定されるでしょう。
この記事では、新リース会計基準の概要から具体的な改正内容、適用に向けた対応方法まで詳しく解説します。
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新リース会計基準とは?
新リース会計基準とは、企業会計基準委員会が2024年9月に公表した企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」およびその適用指針を指す用語です。
そもそもリースとは、特定の物件の所有者である貸手が借手に対し、合意された期間にわたって使用収益する権利を与え、借手が使用料を支払う取引です。
リース会計基準は、そのリース取引の会計処理を定めた基準であり、不動産や設備、自動車などを借りて使用する取引に適用されています。
新リース会計基準では、「リースとは、原資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約又は契約の一部分」と定義されています。契約により特定された資産の使用を支配する権利が対価と引き換えに一定期間移転する場合、当該契約はリースに該当すると判断されるようになります。
従来のファイナンス・リースとオペレーティング・リースという区分を廃止し、原則として全てのリース取引で使用権資産とリース負債を計上する単一の会計モデルを採用している点が特徴です。
新リース会計基準が導入される背景
新リース会計基準が導入される背景には、1993年に日本で初めてリース会計基準が制度化されて以降、国際的な会計基準との相違が課題となっていた経緯があります。
2007年に一度改正が行われたものの、2016年に国際会計基準審議会がIFRS第16号「リース」を公表したことで再び日本基準との違いが明確になりました。
具体的には、現行基準ではオペレーティング・リースがオフバランス処理されるため、企業の真の負債状況が財務諸表から見えにくいという課題がありました。
IFRS第16号では全てのリースを原則としてオンバランス処理することが求められており、日本もこの国際的な流れに対応する必要性が高まっていたのです。
こうした背景から、国際財務報告基準との整合性を図り、投資家が企業の経営実態を正しく把握できるよう、財務諸表の透明性と比較可能性の向上を主な目的として、今回の改正に至りました。
新リース会計基準の適用時期
新リース会計基準は、2027年4月1日以後に開始する連結会計年度、および事業年度の期首から強制適用となる予定です。
3月決算の企業の場合、2027年3月期までは現行のリース会計基準が適用され、2028年3月期から新リース会計基準が適用対象となります。
ただし、2025年4月1日以後に開始する連結会計年度、および事業年度の期首から早期適用も可能となっており、企業は自社の準備状況に応じて選択できます。
早期適用を選択した場合、2025年4月1日に始まる事業年度である2026年3月期から新リース会計基準の適用が可能です。そのため、システム対応や業務プロセスの見直しを早めに完了させたい企業にとっては、有効な選択肢といえます。
新リース会計基準の主な改正内容
新リース会計基準では、現行基準からの主な変更点が4つあります。
リース取引の区分廃止
オンバランス処理の原則化
使用権資産とリース負債の計上
開示要件の拡充
以下では、新リース会計基準の主な改正内容を解説します。
リース取引の区分廃止
現行基準では、借手のリース取引はファイナンス・リースとオペレーティング・リースに区分されていましたが、新基準ではこの区分自体が廃止されます。
改正後は借手の処理に単一の会計モデルが導入され、短期リースや少額リースなど一部の例外を除き、原則として全てのリース取引で統一的な会計処理が求められます。
一方で、貸手側の会計処理については引き続きファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分が維持され、現行基準と同様の処理が継続される点に注意が必要です。
こうした変更により、従来は賃貸借処理で対応していたオペレーティング・リースについても、ファイナンス・リースと同じ会計処理を行うことになります。
オンバランス処理の原則化
新基準では一部の免除規定に該当する取引を除き、借手は原則として全てのリース契約について貸借対照表に資産、および負債を計上するオンバランス処理を行う必要があります。
これまでオフバランスで費用処理のみを行っていたオペレーティング・リースも、使用権資産とリース負債として貸借対照表に計上されます。
オンバランス化により、企業の総資産と総負債の額が増加し、貸借対照表の規模が膨らむ可能性があることを認識しておく必要があるでしょう。
特に不動産や設備のリース取引が多い小売業・航空業・運輸業などでは、財務諸表への影響が大きくなる傾向があります。
なお、短期リース(リース開始日の時点でリース期間が12ヶ月以内の取引)と少額リース(資産の重要性が乏しいと認められる取引)は、従来どおりの費用処理が認められます。
使用権資産とリース負債の計上
借手はリース開始時に使用権資産とリース負債を認識し、それぞれを貸借対照表の資産の部と負債の部に計上することが求められます。
使用権資産はリース物件をリース期間にわたって使用する権利を表し、リース負債はその使用権に対して支払う義務を表します。
使用権資産の取得価額は、リース負債の当初測定額に前払リース料・当初直接コスト・原状回復費用などを加算した金額で算定されます。
一方、リース負債は、リース期間中に支払う将来のリース料総額を割り引いた現在価値で測定し、割引率には借手の追加借入利子率などが用いられます。
使用権資産は、所有権移転リースの場合は自社保有資産と同一の償却方法を適用し、それ以外のリースは定額法など企業の実態に合った償却方法を選択することが可能です。
リース料支払時には、支払額を利息費用とリース負債の返済に区分して仕訳を行い、利息費用は営業外費用として損益計算書に計上します。
開示要件の拡充
新基準では、財務諸表本体での表示に加え、注記における開示要件も大幅に拡充されます。貸借対照表では、使用権資産を原資産の種類に応じて表示または区分表示し、リース負債も明示することが求められることになっています。
また、損益計算書では、使用権資産の減価償却費とリース負債に係る利息費用を区分して表示することが必要です。
キャッシュフロー計算書では、リース負債の元本返済分を財務活動によるキャッシュフローに、利息支払分を営業活動または財務活動によるキャッシュフローに計上します。
注記情報としては、リース活動の内容・使用権資産の種類別内訳・リース負債の満期分析・短期リースや少額リースの費用計上額など詳細な情報の開示が求められます。
こうした開示により、投資家が企業の将来キャッシュフローや財務リスクをより正確に評価できるようになり、資本市場の透明性が向上する効果が期待されています。
新リース会計基準が企業に与える影響
新リース会計基準の適用により、経理部門を中心とした全社的な対応が必要となります。企業に与える影響は、主に以下のとおりです。
経理業務の負担増加
自己資本比率の低下
税務処理への影響
それぞれ見ていきましょう。
経理業務の負担増加
従来は、賃借料として単純に費用計上していたオペレーティング・リースも、使用権資産とリース負債としての処理が必要です。そのため、リース開始時の算定・リース期間の決定・割引率の設定といった複雑な計算業務が新たに発生します。
毎月のリース料支払時には、利息費用とリース負債の返済に区分した仕訳を作成し、使用権資産の減価償却処理も継続的に実施しなければなりません。また、契約条件変更時には再測定も必要です。
多数のリース契約を抱える企業では、表計算ソフトでの個別管理に限界があり、リース契約管理システムの導入や既存会計システムの改修が求められます。
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自己資本比率の低下
新基準により、これまでオフバランスだったオペレーティング・リースが資産および負債として計上されるため、貸借対照表の総資産と総負債が同時に増加することになります。
自己資本比率は純資産を総資産で割って算出されるため、総資産の増加により比率が低下し、財務の安定性が弱まったように見える可能性があります。
自己資本比率は、財務の健全性を示す指標であり、融資の審査条件や社債発行に影響を与える場合がある重要な数値です。
金融機関との融資契約に含まれる財務制限条項に抵触するリスクがあるため、事前に金融機関と協議しておくと良いでしょう。
税務処理への影響
会計上は使用権資産の減価償却費と利息費用を分けて計上する一方、税務上は従来どおり支払リース料として一括で損金算入するため、会計と税務の間で処理の差異が生じます。オペレーティング・リースについては、法人税申告時に申告調整の作業が必要です。
この税会不一致により、繰延税金資産や繰延税金負債が発生し、税効果会計の処理が複雑になる影響が出てくるでしょう。
そのため、新基準への対応として社内の税務管理システムや業務フローの見直しが必要となります。会計部門と税務部門の連携を強化し、国税庁が示す最新の法令や通達に沿って対応方針を定めましょう。
新リース会計基準への対応方法

新リース会計基準へ、円滑に移行するには計画的な準備が大切です。
リース契約の洗い出し
影響額の試算
会計方針の決定
システムと業務フローの見直し
以下では、新リース会計基準への対応方法を解説します。
リース契約の洗い出し
本社だけでなく支社や子会社、各事業部門が個別に締結している契約も含め、全社的にリース契約を網羅的に洗い出す作業が最初のステップです。
不動産の賃貸借・車両・コピー機・パソコンやサーバーといったIT機器など、あらゆる契約書を収集し、契約対象の資産・契約期間・リース料・解約や延長オプション有無などの情報をリスト化していきましょう。
契約書に「リース」と記載されていない業務委託契約や保守契約でも、資産を支配して使用する権利が含まれていれば、新基準のリースに該当する可能性があるため、内容を詳細に精査する必要があります。
影響額の試算
洗い出したリース契約を基に使用権資産とリース負債の金額を計算し、貸借対照表や自己資本比率といった財務諸表への影響をシミュレーションしましょう。
この試算結果は、経営層が財務戦略を立てる際の判断材料となり、投資家や金融機関といった外部の利害関係者への事前説明にも活用される重要なデータです。
影響額を把握することで、財務制限条項への抵触リスクや経営指標の変動幅を事前に確認でき、必要な対策を講じることが可能です。
会計方針の決定
短期リースや少額リースの簡便処理を適用するか、リース期間の判定方針をどう定めるかなど、新基準で認められている複数の処理方法から自社に適した会計方針を選定する必要があります。
早期適用の有無を検討し、強制適用日に向けたプロジェクト全体のスケジュールとマイルストーンを明確に設定していきましょう。
決定した会計方針は社内規程やマニュアルとして文書化し、監査法人との事前協議を通じて適切性を確認することが重要なポイントです。
システムと業務フローの見直し
使用権資産の減価償却やリース負債の利息計算など、複雑な処理を手作業で管理するのは困難であるため、新基準に対応したリース管理システムの導入や既存会計システムの改修を検討する必要があります。
リース契約の追加・変更・解約といった情報を事業部門から経理部門へ確実に連携するルールを構築し、契約情報を一元管理できる体制を整えましょう。
新しい業務フローを前提としたマニュアルを整備し、関係者への研修を実施することで業務の標準化と属人化の防止を図ることが重要です。
まとめ
新リース会計基準は2027年4月から適用開始となり、原則として全てのリース契約をオンバランス処理する必要がある重要な改正です。
この改正により、財務諸表や経営指標に影響が及ぶため、契約の洗い出しから影響額の試算、会計方針の決定、システム環境の整備まで計画的な準備が大切です。
また、経理業務の負担増加や税務処理の複雑化といった課題に対応するには、早期の着手と全社的な取り組みが求められます。
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