ビッグデータとは? 定義や身近な例を簡単解説!
公開:2025.3.19
更新:2025.3.19
近年のDXの推進やAIなどの普及により、それに関連したビッグデータという言葉を目にしたり、耳にする機会が増えてきています。では一体、ビッグデータとはどのようなものなのでしょうか。この記事では、ビックデータの定義やその活用方法などについて解説します。
ビッグデータって何?

ビッグデータについて詳しく知るには、まずはビッグデータの定義について知らなくてはなりません。ビッグデータに関する定義はさまざまですが、日本では総務省による定義が最も一般的に知られています。
総務省による定義
総務省は、平成29年版情報通信白書において、ビッグデータを、デジタル化の更なる進展やネットワークの高度化の結果によって得られる巨大なデータと規定しています。
具体例を挙げると、スマートフォンなどを通じた位置情報や行動履歴、インターネットやTVの視聴・消費行動等に関する情報、さらに小型化したセンサー等IoT関連機器から得られる膨大なデータや、センサー等がこれに該当します。
ビッグデータを特徴づける5つの要素(5V)
ビッグデータとは、従来のデータベース管理ツールでは扱うのが困難なほど膨大で複雑なデータであり、それを特徴づける3つの要素(3V)もしくはさらに2つの要素を追加した5つの要素(5V)があるといわれています。これを表にまとめると次のようになります。
5V | 3V | Variety(多様性) | さまざまな形式のデータが含まれることを意味します。文書・動画・静止画、センサーデータなど、多様なタイプのデータが含まれます。 |
Velocity(速さ) | データの生成速度や処理速度が非常に速いことを意味します。リアルタイムでデータが流れていくため、迅速な処理が求められます。 | ||
Volume(データ量) | 非常に大量なデータであることを意味します。日々、SNSや企業、IoT機器などから発生する膨大なデータが発生しています。 | ||
Veracity(真実性) | データの品質や信頼性は必ずしも高いわけではなく、正確で有用な情報を抽出するためのリテラシーが求められます。 | ||
Value(価値) | 膨大なデータの中に隠れたパターンやトレンドを見つけ出すことができるとされています。 | ||
ビッグデータが注目され始めたのはなぜ?
そんなビッグデータが注目され始めた理由には、いくつかの要因が組み合わさっています。ここではその理由を説明していきましょう。
デジタル社会の進展とデータ量の急増
一つ目の理由は、デジタル社会が進展し、やり取りされるデータ量が急激に増加したことです。特にその急増に寄与しているのがスマートフォンを中心としたモバイル機器といわれています。
総務省によれば、データトラヒック量は2022年末には毎月約90エクサバイトだったものが、2028年には毎月約325エクサバイトに達すると予測されています。
引用:「令和5年 情報通信に関する現状報告の概要」総務省
コンピュータ技術の飛躍的な進化
コンピュータの中枢である集積回路はおおむね「ムーアの法則」に則って進化しています。これは、「半導体の集積率が18カ月で2倍になる」という法則で、簡単にいうとコンピュータの性能は1年半で2倍になることを意味しています。
その結果、飛躍的に増えるビッグデータを、私たちが入手可能なコンピュータでも解析することができるようになったのです。
リアルタイム性の重要性の増加
ビッグデータへの注目が高まった理由としては、リアルタイム性へのニーズが高まったことも挙げられます。たとえば金融分野では、不正取引の即時検知や暗号通貨の瞬時の価格変動への対応が不可欠となっています。また、物流業界では、刻々と変化する需要に合わせた在庫管理や配送最適化が求められています。これらの分野では、データをリアルタイムで分析し、即座に意思決定をおこなうことが競争力の鍵となっており、ビッグデータ技術の進化とともに、リアルタイム処理の重要性が一層高まっているのです。
成功事例の増加
動画配信の大手のNetflixは、ユーザーの視聴履歴やコンテンツへの評価といったビッグデータを解析し、ユーザーごとにおすすめコンテンツを表示しています。さらにその情報はオリジナルコンテンツを製作する際にも利用しています。このような成功事例の増加によって、世界的にビッグデータの重要性が認識されるようになったといえます。
ビッグデータの利点と活用事例
続いてビッグデータを活用するとどのようなメリットがあるかを、その活用事例を通してみてみましょう。
意思決定の精度向上

膨大なビッグデータを解析することにより、データにもとづいた論理的・科学的な意思決定が可能になります。コンピュータを活用すれば従来人間だけではできなかった高度な解析が可能になるため、過去のデータや予測をもとに、ビジネス戦略や運営におけるリスクを低減するばかりではなく、精度の高い意思決定が可能になります。これによりビジネスや政策決定などの精度が飛躍的に向上することになります。
ワークマン
作業着や作業用品、さらにはアウトドア・スポーツウェアなどを販売する専門店チェーンで知られるワークマンは、近年飛躍的に業績を伸ばしている企業として知られています。その理由の一つに社内のデータの有効活用があり、社員自らがデータ分析ツールを作成し、販売動向の分析や需要予測をおこなっています。
ワークマンは10年以上前から「Excel経営」を導入し、従業員各自がExcelを使いこなし、品出しや商品陳列にデータを活用する風土を作ってきました。その成果が、業務効率や売上向上につながったといえます。
さらに近年では、自社独自のAI需要予測型自動発注サービスを開発・導入することにより、従来であれば1日当たり約30分かかっていた店舗の発注業務を9割以上減らすことに成功、わずか2分で発注できるようになりました。
Uber
Uber(ウーバー)は需要予測と価格設定にビッグデータを活用しています。過去に注文があった顧客の位置情報、注文が発生した時間帯、天候やイベント情報などを分析し、リアルタイムで需要予測をおこなっています。
それにより、需要に応じて料金を変動させる「ダイナミックプライシング」を精緻に実現させました。
ダイナミックプライシングとは、商品やサービスの価格を需要に応じて調整する仕組みのことで、需要の高いときは価格を上げることで客単価アップに役立て、逆に少ないときには価格を下げることで購入率アップにつなげていきます。
これにより宅配担当者は需要が高いエリアに向かうことができる上に、無駄な待機時間が減少します。さらに需要と供給のバランスが最適化できるので、顧客満足度とドライバーの収益向上の両方が実現できるのです。
業務効率の改善
企業に蓄積されている膨大な量の業務に関するビッグデータを有効活用すれば、業務プロセスの効率化やリソースの最適化がより容易になります。
コスト削減やリソースの無駄を減らすといった単なるコストカットばかりではなく、人間の頭脳だけでは不可能だった精緻な将来の需要予測や在庫管理、サプライチェーンやロジスティクスの最適化などをおこなうことが可能です。その結果、競合他社に業務効率で大きな差をつけることができます。
物流ビッグデータラボ

「物流ビッグデータラボ」は株式会社Hacobuによって創設された仕組みです。多種多様な企業が配送網などを共有し、人手不足などの共通の課題を解決していこうとする試みです。
参加企業はアスクル、キリンビバレッジ、スギ薬局、日本製紙、YKK APといったまったく業種の異なる企業で、これらの企業は物流ビッグデータを共有・分析し、共同輸配送を目指しています。
この仕組みは異なる企業間で同一の仕組み上で生成された標準データを共有することにより建設的な解決策を導き出す「データドリブン・ロジスティクス」と呼ばれています。
取り組みが始まった背景には、トラックドライバーの時間外労働への上限規制適用により輸送力不足が懸念されていた「2024年問題」があり、限られた物流のリソースを効率的に運用するばかりではなく、カーボンニュートラルにも大いに貢献するといわれています。
General Electric
アメリカのGeneral Electric(ゼネラル・エレクトリック)社では、設備のメンテナンスにビッグデータを活用することにより、業務の改善に成功しています。
IoT(モノのインターネット)技術を活用し、製造機械や設備に備えつけられたセンサーから得られる温度、振動、稼働時間といったデータを解析することにより、故障が起こる前にメンテナンスが必要な時期を予測しています。
これを予知保全(よちほぜん)といい、機械の故障を事前に予測し、適切なタイミングでメンテナンスをおこなうことによって、計画外のダウンタイムを減少させ、設備の稼働率を上げています。従来はベテラン工員の勘やノウハウに依存していましたが、ビッグデータを活用することで誰でも予測が可能になりました。
これにより、自社の工場等での生産効率が大幅に向上し、コスト削減にも成功しています。
顧客体験の向上

NetFlixの例でも挙げたとおり、ビックデータを活用すれば顧客の行動履歴やフィードバックを詳細に分析することができます。それにより個別のニーズや好みにもとづいてパーソナライズされた商品やサービスの提供が可能になります。その結果、顧客満足度が向上し、リピーターや新規顧客の獲得が促進されます。
さらに従来は見つからなかったような顧客層やニーズを見つけ出すこともできます。新しい需要を掘り起こすような新製品やサービスの開発にも役立ちます。
ローソン
コンビニ大手のローソンは、2015年ころから購買履歴と会員別の価値観情報をもとにした「価値観にもとづいたターゲティング」をおこなおうと取り組んでいます。
ローソンは「Pontaカード」や「LAWSON ID」などの会員情報から得られる顧客属性に関する情報のほかに、全国1万5,000店から得られる店舗データや商品データなど独自のデータを保有しています。これらを解析することにより、メーカーと協同で商品のプロモーションを展開しています。
2021年には、大手菓子メーカーであるロッテと協力して、ロッテの人気チョコレート菓子「トッポ」の新製品に関するプロモーションを成功させました。
ローソン会員の価値観と同商品の購買状況の関係を分析し、会員各人の価値観に最適化されたレシート・クーポンのデザインを複数用意しました。そのクーポンを配信した結果、購入率が最大12倍になったという大成功を収めたのです。
各種レコメンデーション機能
ビッグデータを活用した顧客体験の向上といえば、王道は各種のレコメンデーション機能でしょう。レコメンデーションとは「推薦」という意味であり、ユーザーの購入履歴・閲覧履歴などのデータをもとにして、自動的に関心がありそうな商品やコンテンツを提案する機能です。
レコメンデーションの草分けともいえるAmazonなどのネット通販における、購入履歴をベースとした商品の推薦機能や、Netflixのような動画配信サイトでの推薦機能はすでに有名ですが、近年では、Starbucksのような実店舗を持つ企業も同様のサービスをはじめています。同社は顧客の購買履歴や好みの飲み物、来店時間などのデータを収集し、個別の顧客に合わせたプロモーションやクーポンを提供しています。
ビッグデータの課題と活用時の注意点
ビッグデータが有効に活用できれば大変便利なのですが、気をつけなければならない点がいくつか存在します。
データの品質管理
ビッグデータは膨大なデータであるがゆえに、中には有用な情報もあれば、不正確なデータや欠損値が含まれることがあります。そのため、一般にはビッグデータはそのままでは分析をおこなうことができません。適切に処理しないと、誤った分析結果が得られてしまいます。
そのため、ビッグデータから有用なデータを得るためには、不正確な情報を取り除いたり、データを扱いやすい形で整形したりといった、適切な品質管理が要求されます。
プライバシーとセキュリティ
ビッグデータの中には、企業の顧客情報や機密データ、さらには特定個人の機微情報のような取り扱いに注意が必要な情報が含まれるケースが少なくありません。
そのため、データ漏洩や不正アクセスを防ぐために、適格者以外がデータにアクセスするのを禁止するなどの適切な管理をおこなうと同時に、法的規制に則ったデータの管理やセキュリティ対策を十分に考慮するなど細心の注意を払う必要があります。
解析能力とインフラ整備
仮に以上の2点をクリアしていたとしても、膨大なビッグデータを迅速かつ効率的に解析するには、それなりに高度な解析技術とサーバやソフトウェアなどのインフラの整備が必要になります。
また、技術やインフラが整っていたとしても、解析をおこなうデータサイエンティストなどのデータ解析のリテラシーが低ければ成果を上げることができません。
つまり、技術・インフラ面と担当者の分析能力の両方が求められるのです。
ビッグデータをうまく利活用するには?

以上を踏まえ、だれでもビッグデータを有効活用するにはどうすればよいのか、ポイントを考えてみましょう。
目標を明確にする
そもそも何のためにビッグデータを活用するのかをはっきりとさせる必要があります。
たとえば企業の場合は、売上向上や顧客満足度向上、業務効率化など、具体的な目標があるはずです。
ビッグデータはデータ量が膨大であり、処理したり分析したりするにはそれなりの手間や時間がかかります。そのため、作業を漫然とおこなうのではなく、目的に対して、どのようなデータをどう分析・利用するか、方向性を明確にしないと意味がない作業になってしまいます。
データの品質を確保する
ビッグデータの正しい分析結果を得るには、正確で信頼性の高いデータが必要になります。そのためには、ビッグデータの整備・クレンジングをおこない、欠損値や異常値を取り除くなどの適切な前処理が必要となり、その能力の高さが分析結果を左右します。
また、特にマーケティングなどに活用するには古いデータではなく、なるべく鮮度の高いデータが必要になるため、情報が古くなる前にこれらの処理を適切におこなう必要があります。
適切なツールと技術の選定
前述のデータの品質を確保する手段の一つとして、適切なツールと技術を選定することが求められます。AI、機械学習、クラウドサービスや、BIツールなど、ビッグデータを分析するためには活用すべきツールやシステムが多数存在します。
その上、同じ目的に使えるツールでも、価格によって性能が大きく異なる場合もあります。
これら手段やツールを適切に選択し、活用することが求められます。
データ分析のスキル向上
また、どのように良質なデータや高度なツール、技術があったとしても、それを駆使する分析者のスキルが低ければ宝の持ち腐れとなってしまいます。
また、新しい技術がどんどん開発され、最新のツールや技法に対する知識も求められます。
そのため、企業や官公庁のような組織の場合、専門知識を持ったデータサイエンティストやアナリストが重要な役割を担うため、教育やトレーニングをおこなったり、これら専門家たちのための自己啓発のためのサポートをすることが重要です。
プライバシーとセキュリティ対策
以上のすべての条件が満たされていたとしても、プライバシーとセキュリティ対策を怠ってしまうと、大変なことになってしまいます。
特に扱う情報が個人情報であったり、企業などの機密情報であったりする場合には、データの取り扱いや保護に関する法規制を遵守すると同時に、十分なセキュリティ対策が施された環境下で作業をおこなうことが求められます。このように、ビッグデータを活用する際にはデータの漏洩や不正利用を防止するための管理体制を構築する必要があります。
ビッグデータの今後の展望
現在盛んに活用されているビッグデータですが、今後はどのようになっていくのでしょうか。
一つ考えられるのが、AI・機械学習との連携強化です。AIや機械学習はデータをもとに学習・進化していくので、ビッグデータと非常に親和性が高く、データの量が増えるにつれAIや機械学習によるより精度の高い予測や意思決定が可能になることが予想されます。
またIoTの進展により、膨大なデータがリアルタイムで生成されるため、こういったリアルタイムのデータをいかに活用するかも重要な課題になってくることが予想されます。
ただ同時に個人情報の保護や、機密データのセキュリティがますます重要となっていき、規制が強化され、データ所有者の権利や情報保護への厳格さがより強く求められることでしょう。
ビッグデータについてのよくある質問
最後にビッグデータに関するよくある質問について整理しましょう。
質問 | 回答 |
ビッグデータはどのような業界で活用されていますか? | 製造業、金融、医療、小売、物流、マーケティング、さらには公共機関などでも活用されています。 |
ビッグデータの保管と管理はどうすればよいですか? | クラウドストレージや分散型ファイルシステム、NoSQLデータベースなどがよく利用されます。 |
ビッグデータを活用するためにどのようなスキルが必要ですか? | 統計の知識やAIや機械学習の知識、Python言語やR言語などのプログラミングスキル、ビッグデータ分析ツールなどの知識が求められます。 |
ビッグデータの未来はどうなるのでしょうか? | エッジコンピューティングやIoTの普及によってよりリアルタイムの分析が求められるようになる可能性高いでしょう。 |
まとめ
以上のようにビッグデータは現在の産業に欠かせないものになっていることがわかります。さまざまな産業分野や企業で幅広く活用されており、それぞれの企業がその活用法について日々試行錯誤をしている状況です。
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●著者プロフィール
亀田 健司
シフトシステム株式会社代表取締役。看護職員のシフトシステム等の開発販売を手掛けるかたわら、プログラミング・技術者教育の講師・コンサルタント、ソフトウェア開発・IT研修講座の講義・研修プログラムの開発・プロデューサーとしても活躍。大手WebメディアなどにプログラミングやIT技術に関する技術コラムを寄稿。