インサイトとは?マーケティングにおける意味や獲得方法を解説!

公開:2024.12.23

更新:2025.1.6

マーケティング活動がうまくいくかどうかは、顧客の心理を正しく捉えられるかどうかに左右されます。そこでポイントとなるのが、顧客の潜在的なニーズなどを意味する「インサイト」です。この記事では、マーケティング領域におけるインサイトの意味や重要性、具体的な獲得手法について解説します。

インサイトとは

マーケティングにおける「インサイト」とは何か、最初にその概要について解説しましょう。

同じくマーケティング領域で使用される言葉である「ニーズ」との違い、インサイトを分析することの重要性にも触れることで、インサイトについて理解を深めていただければと思います。

マーケティングで使われるインサイトとは

インサイトとは、英語で「洞察」を意味する言葉です。「洞察」という言葉は、日本語では、物事を観察して、その本質や根底にあるものを見抜くこと、見通すことを指します。

マーケティング領域においては、商品やサービスを利用する顧客の心理を意味するのが一般的です。特に、消費者自身も気づいておらず、自分でも言語化できないような無意識的で潜在的な心理状況や判断要素を捉える際に、インサイトという言葉が使われます。

そのためインサイトを把握するためには、市場調査のような定量的な情報だけでなく、ユーザーインタビューなどの定性的な情報を元に、マーケティング担当者や商品開発担当者自身が、丁寧に消費者の行動や発言を紐解き、理解する必要があります。このようにインサイトを特定することは企業にとって、非常に繊細かつ難易度の高い活動です。

インサイトとニーズとの違いは? 

インサイトと意味が混合されやすい言葉としてニーズがあります。両者は似ていますが、マーケティング領域では異なる概念の言葉として使われています。

ニーズとは、顧客自身が認識している欲求を指します。ニーズは「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」に分けられます。

顕在ニーズは「前に使っていた○○が壊れてしまったので、新しいものがほしい」など、消費者自身が明確に言語化できるニーズです。

一方、潜在ニーズは、欲求自体はあるものの、消費者自身が言語化できないものを指します。解決したい困りごとはあるものの、解決策がわからないといったケースです。こういったニーズは、たとえば家電量販店に行き、店員に困っている状況を断片的にでも伝えるなかで言語化され、解決策を見出すことができます。この場合、ニーズ自体は明確に認識されているのがポイントです。

それではインサイトはどうでしょうか。インサイトは、消費者や顧客の無意識下にあり、言語化されていない心理や本音のことを指します。

インサイトは顕在化していない点で潜在ニーズと似ていますが、インサイトの場合は、消費者自身でさえ認識していないという点が潜在ニーズとは異なります。

そのためインサイトはユーザーインタビューを行なっても、拾い出すことが難しいという特徴があります。消費者自身がまだ認識すらしていない、困りごとやニーズといえるでしょう。

インサイトを分析することがなぜ重要なのか

インサイトを分析することはなぜ重要なのでしょうか。それは顧客理解、経営戦略の精緻化、効果的なマーケティング施策の立案などを進めるうえで必須だからです。ここではそれぞれの重要性について解説します。

顧客理解

インサイトを分析することは、顧客理解を深める上でとても重要です。

「〇〇〇がほしい」という顕在化したニーズや行動パターンに合わせてマーケティング活動、商品・サービス開発を行っていると、時代やニーズの変化に対応できず、いつの間にか的外れな提案やサービス提供をしてしまう結果になります。

「もし私が人々に何がほしいかと聞いたとしたら、人々は『もっと速い馬』と答えただろう」

このセリフは、史上初の量産型自動車を世に送り出したヘンリー・フォードが述べたといわれています。自動車のない時代の人々に、何が必要かニーズを聞いても「自動車」という答えは返ってきません。人々はフォードがつくり出した自動車を見てはじめて、何がほしかったのかに気づいたり、それまで不便であったことに気づくからです。

こうした顧客自身も認識していないインサイトを把握し、理解することは、顧客理解を深めるうえで不可欠といえます。

経営戦略の精緻化

インサイトの分析は経営戦略の精緻化においても重要な役割を果たします。

顕在ニーズに応える商品やサービスは既に市場に存在しており、その市場の中で企業は競合との差別化を図っています。

自社が保有する売上データや顧客データを元に経営戦略を立案するだけでなく、顧客の潜在的な心理や本音を理解し、インサイトを反映することで、より解像度の高い経営戦略の立案が可能になります。

また、市場にはまだ存在しない新しい商品開発や需要の喚起が可能になるため、企業の成長を実現することにもつながります。

効果的なマーケティング施策の立案

インサイトの分析は、効果的なマーケティング施策の立案を行う上でも重要です。

顧客の無意識な心理や本音を理解することで、顧客に刺さるメッセージやキャンペーンの立案が可能になります。また、顧客の行動パターンや価値観を捉えることで、マーケティング施策実行に必要なチャネルやメディアを選択したり、共感を呼びやすいコンテンツの制作が可能になります。

結果的に、マーケティング活動の成功により、市場における認知率が向上につながったり、売上の向上につながります。

インサイトの獲得方法

インサイトを理解し獲得するには、顧客の行動履歴などのデータから分析する、市場調査や競合分析を行う、アンケートなどを使って顧客との対話を行うなどの方法があります。

行動履歴等を活用したデータ分析

行動履歴などを活用したデータ分析は、インサイトを理解・獲得するために有効な手段の一つです。具体的には、アクセス解析ツールなどで得られるWebサイトのアクセス履歴、ECやサービスサイトにおける顧客の購買履歴などのデータを収集して分析します。

ほかにも、Webページで顧客がどこに注目したかを把握するヒートマップツールを用いてサイト訪問時のユーザーの行動を視覚化したり、顧客が初回購入した後、購入頻度や購入時期の変化を分析したりします。

あわせてユーザーインタビューを行うことで、定性的な情報を元に一定の仮説を持った中で、前述のような定量的な分析を定期的に行うことにより、顧客の興味関心や購買パターンを捉え、効果的なマーケティング施策の立案や商品開発に活かすことができます。

市場調査、競合分析

市場調査や競合分析もインサイトを獲得する上で重要な手法です。

市場調査は定量調査と定性調査の2つに分かれます。

定量調査では、インサイト獲得にあたり、Webでのアンケート実施が一般的です。定性調査では、自社の顧客からランダムに選ばれた人に協力を依頼し、1対1のユーザーインタビューや、複数名でのグループインタビューなどを行うことが一般的です。

いずれも、費用や時間がかかるため、調査の目的、調査設計、集計方法などを事前に設計しておくことが肝要です。競合分析では、上場企業であれば財務諸表などの公開情報や、商品・サービス、Webサイトを自社と比較して、相違点や差別化ポイントに着目し、自社が捉えられていないインサイトがないかどうかチェックします。

顧客との対話

インサイトを獲得する手法の中で、顧客との対話は最も重要かもしれません。顧客と直接コミュニケーションを取ることを通じて、顧客のインサイトや特性、感情を理解できるからです。

顧客と対話することにより、データ数値や市場調査結果だけでは見えない、顧客の本音や行動の背景を理解します。その結果、自社商品やサービスの課題や改善点を明確に理解し、マーケティング施策に反映することができます。

また、顧客とコミュニケーションを行うことを通じて、自社商品やサービス、ブランドに対する愛着を持ってもらえる可能性もあります。副次的な効果としては、実際の顧客の生の声を聞くことで、担当スタッフの自社に対するロイヤリティが高まる可能性もあります。

オンラインでのアンケートなど

オンラインでのアンケート実施は比較的取り組みやすい手法です。たとえば、会員向けのメールマガジンで、アンケートの協力依頼とともに自社サービスのクーポンやギフト券を謝礼として進呈する方法です。

InstagramやXなどのSNSに、特定のハッシュタグをつけて、商品やサービスを使用した感想を投稿してもらうキャンペーン手法なども、認知・獲得施策も兼ね、有効な手法の一つです。オンラインでの取り組みは、他の手法に比べ、費用や準備時間も比較的軽く収まることが多く、多くの企業で取り入れられている方法です。

オフラインの路上アンケートや展示会への出展など

オフラインの路上アンケートや展示会への出展も、顧客と対話する上で有効な手法です。オフラインで顧客と直接接することにより、会話や質問への返答時の顧客の表情、微妙なニュアンスの違いなど、オンラインでのコミュニケーションや、定量データには現れない情報を直接得ることができます。また、顧客から商品やサービスに対する使い勝手などを直接フィードバックしてもらえ、商品やサービスの改善に活かせるなどのメリットもあります。

インサイトの効率的な獲得方法は

ここまで、インサイトの獲得方法の種類や具体的な方法について説明してきました。それでは、インサイトの効率的な獲得方法にはどのようなものがあるでしょうか?

直接顧客と対話ができる「展示会出展」

展示会出展は、効率的にインサイトを獲得できる手法の一つです。テーマに興味を持って来場している人がほとんどであり、自社商品・サービスのテーマに沿った展示会であれば、来場者の多くが自社の見込み顧客です。

オンラインのアンケートなどは、時間をかけて詳細に回答してくれる人は少ないですが、展示会であれば対面で話すため、気になったことがあれば、その場で深掘りすることも可能です。また、オンラインでは反応がなかった人を追いかけて話を聞くことはできませんが、展示会であれば、自社のブースを素通りする人にもこちらから能動的に話しかけることができます。そして、そもそもの展示会のメリットである、大量のリード獲得も可能です。

デプスインタビュー

デプスインタビューもインサイト獲得の有効な手段です。

デプスインタビューは、インタビュー対象者と質問者が1対1で実施するインタビュー手法の1つです。多くは自社商品やサービスのターゲットとなる属性の人か、あるいは自社の顧客から対象者を選びます。

デプスインタビューでは、顧客が商品やサービスを購買する際の理由や背景、心理状況を詳細に把握できることが大きなメリットです。ただし、1対1の手法のため、複数回繰り返すには時間がかかる上、インタビューの質問者のスキルによって結果が左右されるため、事前の調査設計がとても重要です。

デプスインタビューは、ペルソナ設計やカスタマージャーニーの作成にも活用されるため、マーケティング活動でよく用いられます。

グループインタビュー

グループインタビューもインサイト獲得の有効な手段です。グループインタビューとは、複数の回答者に意見を求めて自由に会話を行う手法のことです。

デプスインタビューと同様に、対象者は、自社商品やサービスのターゲットとなる属性の人か顧客から選びます。

デプスインタビューでは、回答者が1人なのに対して、グループインタビューは複数名がいるため、1人の回答によって、他の回答者が自身の気づいていなかった視点や心理を言語化したり、回答者に共通する心理や行動を特定することもできます。ただし、参加者が複数名のため、議論があらぬ方向に行ってしまったり、思ったような回答が得られないなど、ディレクションスキルが重要なため、事前の調査設計とインタビューの質問者の選定が重要です。

インサイトマーケティングの事例

インサイトマーケティングは、消費者や顧客が自身で気づいておらず、言語化もできないような心理や動機を深く捉えることで、効果的なマーケティングを行う手法です。以下でインサイトがマーケティング活動に活かされた事例を見ていきましょう。

有名チョコレートの新戦略

長年の人気を誇るチョコレートのマーケティングで、従来とは異なる訴求で売り上げを再び大きく伸ばした例があります。

商品名を日本語の読み(語呂)の近い言葉にうまく組み合わせ、受験シーズンに受験生を応援するキャンペーンを展開しました。日本独自の風習の奥底にあった消費者のインサイトを的確に理解し、そのニーズを捉えた事例として有名です。

具体的には、チョコレートの個包装にメッセージが書ける欄をつけたり、近年ではSNSでハッシュタグをつけて応援メッセージを投稿するキャンペーンなども展開しています。

この企業は元々外資系のメーカーであり、このチョコレートも世界的に有名なブランドですが、日本市場の消費者のインサイトを捉え、独自のポジションを築き市場に再度浸透させることに成功した事例といえます。

インサイトをつかみ、訴求を変えて成功した消費材

世界的日用消費材メーカーが手掛けるある消臭スプレーは、現在ではロングセラー商品となっていますが、発売当初は売上が伸び悩んでいました。

打開策を探るため担当者は、ヘビーユーザーの自宅を訪問。実際の利用シーンについてインタビューを行ったそうです。その結果、ヘビーユーザーは、家の中の掃除のついでにこの消臭剤を使用していること、単に消臭のために使用するではなく、掃除の仕上げに使用していることが判明しました。

このインタビュー結果をベースに、消臭剤を「消臭する」のための製品としてではなく、「空間を快適にする」ためのものとして訴求し、売上拡大に成功しました。

インサイトを商品開発に生かす仕組み

ミニマムでシンプルなデザインでブランドを確立し、衣服や食品、生活雑貨などの企画から販売までを手がける製造小売業企業では、消費者のインサイトを活用するためのコミュニティサイトを運営しています。

このコミュニティサイト内では、顧客自身がほしい商品を直接サイト上にて投稿することができ、商品化を希望する投票が一定数に達すれば、商品化につながる仕組みです。この取り組みにより、数々のヒット商品も実際に生まれています。

このコミュニティサイトでは、消費者を単なる購買者としてではなく、商品開発のパートナーとして捉え、顧客同士がコミュニケーションできる仕組みをつくることで、そのインサイトを商品開発のプロセスにうまく反映しているといえます。

まとめ

本記事では、インサイトについて解説してきました。インサイトとは、消費者や顧客の無意識にある言語化できない心理や動機を指します。マーケティング領域においては、顧客の行動やニーズを的確に捉えるために、インサイトに注目することが重要です。

インサイトの獲得手法としては、オンラインやオフラインでさまざまなものあります。それぞれにメリットがありますが、まずは、自社の顧客一人ひとりがどのような人なのかを把握するため、できれば、対面で接して直接会話を行い、自分なりの顧客像とインサイトの仮説を持つことがポイントです。

インサイトを獲得する、獲得するためのサービスを探すなら展示会!

本記事ではインサイトの重要性を説明いたしました。
インサイトの獲得方法として、展示会出展はいかがでしょうか。ツールを探す方や情報収集をする方など、様々な状態の来場者と直接話ができ、自社のサービスの顧客となりうる相手の持つインサイトを獲得することが可能です。
オンラインでは、逃してしまう、関心を持ったけれど離れていく方をオフラインのイベントである展示会では、能動的に話しかけることで逃さず交流を持つことも可能です。

また、出展企業の中には、インサイトを獲得することを支援する出展者もいます。
自社だけではインサイトの獲得が難しい場合、そういったサービスを一度に比較し、自社への導入を検討することも可能です。

インサイトの獲得には、展示会出展、獲得の代行や支援するサービスを探す場合は、展示会への来場はいかがでしょうか。

関連展示会情報

・マーケティング・セールスWorld
https://www.bizcrew.jp/expo/marketing-sales-tokyo

・マーケティングDX EXPO
https://www.bizcrew.jp/expo/dx-tokyo-marketing

●著者プロフィール

森本 芝

デジタルマーケター/合同会社ウェブ集客サポート代表

神戸大学経営学部卒業後、リクルートエージェントにて営業に従事。2011年よりマーケティングのキャリアをスタート。専門はWeb広告によるリード獲得、サイト改善。2022年合同会社ウェブ集客サポート設立。直近は、BtoBマーケティングのプロジェクトに多数関わり、改善提案、施策実行の伴走を行う。