マーケティング・オートメーションとは?導入のポイントや成功事例を解説
公開:2024.12.11
更新:2025.1.6
近年マーケティング・オートメーション(Marketing Automation:MA)を利用する企業が増えています。
MAとはさまざまな営業活動を自動化して、効率的に成約に至るよう支援するためのツールです。MAはAIを活用した高度な機能もあり、興味のある方も多いのではないでしょうか。
この記事ではMAの特徴や導入のポイント、成功事例などについて解説します。
マーケティング・オートメーション(MA)とは
マーケティング・オートメーション(MA)とは、見込み顧客の獲得から商談にいたるまでの手順を一部自動化して、商談を成約に導いていく営業支援ツールのことをいいます。
企業の営業活動においてマーケティングは非常に重要ですが、自社製品を必要としている顧客を見つけ、タイミングよくアプローチし、商談までもって行くことは容易ではありません。
かつて主流であった電話営業や飛び込み営業は、今日では敬遠されることが多く、効果的な手法ではなくなっています。
また、何らかの商品やサービスの導入を検討する企業は、必要な時に担当者がインターネットなどを活用して情報収集し、自ら問い合わせするといったことも普通に行われるようになりました。
こうした状況のもとで営業活動を進めるには、MAが必要不可欠といえます。
MAによって見込み顧客の獲得、メール配信などによるコミュニケーション強化、商談化の可能性判断までを一括管理し、大量のデータを使って効率的・効果的に営業活動を展開することが求められています。
インターネットの普及・営業のDX化を背景に導入企業増加

MAを導入している企業は国内企業のなかではまだ少数派ではあるものの、導入数は年々増加しています。
特にコロナ禍をきっかけに非接触型の営業活動が求められるようになったことや、働き方改革によって勤務時間が制限されたことなどにより、ITを活用してマーケティング活動を効率化し、変革を起こしていく営業DX(デジタルトランスフォーメーション)が進展しました。その結果、営業DXの手段の1つであるMAの導入も進みました。
企業には限られた時間の中で的確なマーケティング活動を行うことが求められており、MAの導入は現代の自然な流れだともいえます。
一般的なMAの機能とメリット
MAにはリード(見込み顧客)を獲得・管理し、その育成や見込みの高い顧客を絞り込む機能、さらにはマーケティング業務全体を自動化するオートメーション機能があります。それぞれの機能とメリットについて解説します。
リードジェネレーション(Lead Generation)
「リードジェネレーション」とは、マーケティングの初期段階で行われる新規顧客開拓あるいは顧客創造といわれる活動のことです。
商品やサービスを販売する場合は、まずそれを買ってくれるお客様(顧客)を見つけなければなりません。
最近では、何らかの商品やサービスを購入する顧客は、インターネットで情報収集を行うのが一般的です。そのため、検索にヒットさせ、商品の特長を簡潔に伝えることが新規顧客を獲得するうえで重要であり、多くの企業がリードジェネレーションの施策として重視しているのがランディングページです。
ランディングページとは、製品概要や特長を分かりやすく説明した1ページほどの簡潔なウェブサイトのことで、短時間で顧客の興味を引くように制作します。また、そこから詳細の資料請求に誘導するとともに、見込み顧客の最低限の情報(企業名や担当者、メールアドレスなど)を取得し、その後の活動につなげていけるようにします。
リード管理(Lead Management)
見込み顧客のメールアドレスや連絡先などを取得したら、それらを整理して活用するための準備をする必要があります。
ランディングページを見ただけでなく資料請求までしてきた顧客は、自社製品にかなり興味を持っているか、製品比較をしている段階であると考えられます。
このような状態にある顧客に対して、その後のアプローチにつながるよう適切に管理するのが「リード管理」です。
通常は、自社での顧客情報の管理ルールを策定し、集めた顧客情報をもとに見込み顧客を「調査段階」「検討段階」「具体的な製品比較段階」「購入目前段階」などのランクに分けます。
これらをマーケティング部門だけではなく営業部門などの社内の別チームとも共有し、それぞれのアプローチにつなげていきます。
リードナーチャリング(Lead Nurturing)

nurturingとは英語で「育成する」という意味であり、リードジェネレーションで獲得した見込み顧客をより精密に管理、分類し、自社製品の購入に導くための「顧客育成」のことを指します。
リードジェネレーションや管理はある程度ツールに任せて自動化することもできますが、リードナーチャリング以降は、顧客の段階に合わせたコミュニケーションを担当者が直接行っていく段階となります。
具体的な方法は販売する製品によって変わってきますが、メールの送信のみならず電話での連絡やセミナーの企画・開催とその案内などを行います。
リードクオリフィケーション(Lead Qualification)
前段階までのプロセスを踏まえ、その中から受注・成約確度の高い顧客を抽出し、優先的にアプローチするのが「リードクオリフィケーション」です。
MAツールには、それまでの顧客とのコミュニケーションの感触や資料のダウンロード、セミナー参加の有無などによってスコアリングする機能があり、スコアが高い顧客を選別して丁寧にアプローチしていきます。
この段階の顧客は購買意欲が高まっているため、メインの担当はマーケティング部門から営業部門に移管するのが一般的です。
営業担当者が通常の営業活動として個別のメールや電話をしたり、製品によっては直接顧客先に訪問するなどしてクロージングさせていきます。
MAのオートメーション機能、活用のポイント
ここまで見てきたように、MAツールを使えば見込み顧客の取り込みからその管理、その後のコミュニケーションまでを可視化してある程度自動化できるため、そのプロセスを効率化することが可能です。
しかし、最終的な購買判断をするのは顧客=ヒトであることを忘れてはなりません。全てをツール任せにできるわけではなく、顧客への最終的な提案やクロージングは、担当者が戦略的かつクリエイティブな発想と対応力をもって進める必要があります。
マーケティング・オートメーションと関連ツールの違い
現在マーケティング活動ではさまざまなツールが利用されています。
代表的なものとしてはMAのほかにSFA(Sales Force Automation:セールスフォース・オートメーション)、CRM(Customer Relationship Management:カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)があります。これらの機能は似ているようですが、使用される段階と役割が若干違います。
新規顧客開拓・顧客創造から見込み顧客の抽出、管理、最適化までをMAで行い、その後の商談開始からの顧客管理にはSFA、受注してからの顧客とのやりとりにはCRMを使用します。
これらは完全に独立したものではなく段階的に使い分けていくものなので、ツールによっては一体化したものもあります。
SFAとの違い
SFAとはMAで獲得・育成した購買意欲が高まっている顧客に対して、実際に営業担当がその効率化と可視化のために使用するツールです。
主な機能としては、「プロセス管理」「進行管理」「チーム内のタスク管理」「担当の割り当て管理」「分析とレポーティング」などがあります。
この段階の担当はマーケティング部門ではなく営業部門に移行しているので、営業担当者が効率的なクロージングに導くために使用されます。
CRMとの違い
CRMはすでに商品を購入あるいは契約を締結し、サービスの利用を開始した顧客を緻密に管理するためのツールです。
顧客の連絡先や担当者の情報はもちろん、それまでの提案やコミュニケーション履歴などについても詳細を記録しておきます。
この段階になればすでに自社の顧客になっているため、その顧客に対して最大限のサービスができるようにデータを管理します。顧客の“かゆいところに手が届く”サービスは、その後の契約拡大と解約防止につながります。
MAツールの導入から運用までの流れを解説!
次にMAツールの導入までの流れを解説します。
MAツールもいろいろな種類があるので、まずは自社の製品やマーケティング手法にあったものを選ぶ必要がありますし、オペレーションにも慣れる必要があります。
主に以下のようなプロセスで行うとよいでしょう。
社内ニーズの評価と目標の明確化
MAツールに限ったことではないですが、いろいろなツールを導入する際は、まず自社の現状の
マーケティングの手法やプロセスを解析し、その課題を洗い出すことが重要です。
そのうえで「どの部分が自動化されれば最大の効果が出るか」を明確にし、ツール導入の目標を定めます。
要件の整理と予算設定
次のプロセスでは、目標に従って必要な機能やそれらの優先順位を決めましょう。
すでに自社で使用しているSFAツールやCRMツール、グループウェアなどがあればそれらのシステムとの親和性も非常に重要です。
一般的に異なるシステム同士でのデータのやり取りは手間がかかることが多く、それらに労力を費やしてしまっては自動化する意味が半減してしまいます。
さらにMAツールの導入にどのぐらいの費用がかかるのかを調べ、予算を確保する必要もあります。
なお、これらのシステムは今後長く使っていくものなので、最低でも年間の費用を策定しておきましょう。
ツールの選定と導入計画の策定
次に市場にあるツールを調査した上で比較検討し、自社に合いそうなものをピックアップします。
国内製、海外製などさまざまなツールがあるなかで、自社が販売したい製品やサービスにフィットしたものであるかどうか、操作が複雑すぎないかなどを検証します。
ユーザーサポートが充実しているかも重要なポイントです。
この段階で目星をつけた製品のサイトを見たり資料請求をしたりしますが、この時点で逆に「MAツール提供企業のMAに逆に取り込まれている」のです!今後の自社への導入のためにもどのようにアプローチされるのか研究するのもいいですね。
トライアル導入と操作感のチェック

昨今のシステムは初期段階に無料で試用できるものが多く、実際に機能や使い勝手、ユーザーインターフェースを体験することができますので、実際に試して比較するのがよいでしょう。
疑問点や質問があれば積極的にユーザーサポートに問い合わせ、その反応を見ることも重要です。
同時に社内でMAツールの運用に関わるメンバーを選定して、実際にトライアル運用をしてみましょう。
この時点で先方のアプローチや対応がよければそのMAツールが最大限の効果を発揮している証明になりますので、選定のポイントにもなるでしょう。
導入決定と契約ならびにテスト運用の開始
前のプロセスによって自社で導入したい製品が決まったら、実際に契約をして本運用を開始します。
まずは既存のリード情報、顧客データのインポートからはじめ、運用をはじめるチームメンバーにトレーニングを行っていきます。
この段階でMAツールのメーカーからどれだけ手厚いサポートを受けられるかという点も今後の運用の鍵になるはずです。
まずは小規模のキャンペーンやセミナーの募集などから運用を開始してみましょう。
失敗しないMAツール選びのポイント
実際にMAツールを選ぶ際には、どのような点を確認すればよいのでしょうか。
数あるツールのなかから自社に合うツールを選ぶポイントについて解説します。
自社に必要な機能が備わっているかどうか
まずは、自社が販売しようとしている製品やサービスとターゲット層をマッチングさせるのに最適なツールかどうかを判断します。まれに海外製品の場合、日本における商慣習とあわない場合もあるので、この点も注意が必要です。
ユーザビリティやインターフェースが親切かどうか
操作画面などがわかりやすく使いやすいことは、システムを導入する際には非常に重要なポイントです。
導入後、システムはマーケティング部門の担当者のみならず、営業部門など別部署のメンバーも利用することになります。直感的に操作、運用できるような仕組みが重要です。
ユーザーサポートが充実しているか
MAツールの導入後、操作や機能などの疑問が発生した際に、気軽に電話やチャットなどでメーカーに質問できる環境は必須といえます。
MAツールは機能が多く、かつ他のシステムとの連携なども必要となり、操作が複雑になりがちです。
サポートが充実していれば、業務に使う人たちが疑問点をすぐに解消でき、システムの定着につながります。
コストパフォーマンスが最適かどうか
MAツールはさまざまな機能があり、メーカーやツールによって価格はまちまちです。
後から追加できる機能もありますので、まずは自社の要件に従って最小構成で導入するのがよいでしょう。
最近ではクラウド型のものが主流となっており、月単位での課金が一般的です。
サポート費なども含めるとどうしても年単位での予算確保が必要になるため、自社の予算内で無理のない価格の製品を選ぶことが必要です。
カスタマイズ性はどうか
ツールを使い慣れていくと他のシステムとの連携を含めて、追加の機能が必要になってくることも珍しくありません。
その際に、要望に応じてカスタマイズできるかどうかも選択のポイントになります。
セキュリティは確保されているか
MAツール上にはその機能上、見込み顧客の企業名や担当者名、メールアドレスなどの個人情報を登録する必要があります。
特にクラウドサービス上にそれらの情報を預ける場合には、サービス提供企業のセキュリティ対策・体制についても考慮する必要があります。
万一自社が管理・運用している顧客リストが流出したりすれば、重大事故に直結するからです。
導入だけでは不十分?MAツール定着のカギは?

MAツールのみならずどのシステムでもいえますが、新しいシステムを導入するということは「今まで自社になかった業務やプロセスが増える」ことを意味します。
そのため、要件定義はもとより、その導入目的や導入後の運用やゴールを策定しておかないとうまく活用できません。
そして、MAツールのような複雑なプロセスが必要なものを導入する場合、担当者が兼任で行うのは難しく、専任の担当者やチームを策定しておく必要もあります。
そのための時間やリソースが必要になることも頭に入れておきましょう。
システムは導入したものの、使い方が複雑でなかなか定着せず、忙しい中で誰も触れずに時間だけが経っていくような場面がよくあります。それでは導入した意味がないどころか、かけたコストが丸々無駄になってしまいます。
成功事例
MAツールを導入することで業務効率が上がり、成功した企業の例を紹介します。
大手旅行会社A社
老舗旅行代理店として知られるA社は、法人営業の推進に伴いMAツールを導入しました。
見込み客をスコアリングしたことにより「どの顧客が何に関心を持っているか」が的確に把握できるようになり、効率的に営業ができるようになったそうです。
システム選定のポイントとして、既存システムとの連携がスムーズかどうかを重視し、社内での活用・定着にも成功しました。
大手飲料会社B社
業界最大手、アルコールを含めた飲料メーカーであるB社は、さまざまなキャンペーン機能の充実を特長とするMAを導入しました。
長年蓄積した自社の顧客リストを使って、顧客のニーズをカテゴライズし、顧客の関心に合わせて最適化したコンテンツ配信を行って売上向上を果たしました。
この導入にあたっては、MAの活用ノウハウを持っている大手通信会社などに支援を求めたそうです。
このような先行企業と連携することも、MA導入・活用を成功に導くために重要な手法といえます。
まとめ
ここまで、MAツールの概要からその導入の背景やメリット、導入の際の注意点などをまとめてきました。
MAツールの導入にあたって大切なのは、自社内のニーズを詳細にヒアリングし、どのような目的で導入するかを定義することです。
要件の洗い出しや選定に不安がある場合は、導入支援もあわせて行っているメーカーを活用したり、導入ノウハウを持っている企業に支援を依頼することも検討するとよいでしょう。
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●著者紹介
目代純平
チェックフィールド株式会社代表取締役 ITコンサルタント/東京都認定eメディアリーダー
法人向けIT運用コンサルティング、運用管理代行を中心に 約110社のIT環境を総合管理するかたわら、2008年より各地で「安全なケータイ・スマホ、 インターネットの使い方」をメインテーマに講演活動を展開。 この16年間各地で行った講演は250を超える。2014年フジテレビ「ホンマでっか!?TV」に 「ネット問題評論家」として出演。