生成AIとは?AIとの違いやビジネスでの活用方法などを解説

公開:2024.9.9

更新:2024.9.9

ChatGPTの衝撃的なデビューにより、広く知れ渡るようになった生成AIですが、世の中では「どうやらすごい技術らしい」といったような漠然とした理解しかされていないのが実状です。中には「今後ほとんどの仕事が生成AIに奪われてしまうのではないか」といった不安を感じる人もいることでしょう。

確かに生成AIは従来にない強力なテクノロジーですが、必ずしも仕事を奪うヒトの敵というわけではありません。正しく活用すればヒトの作業を楽にしてくれたり、新しいビジネスを創造する強力なツールとなるものなのです。この記事では生成AIの性質や活用のヒントなどについて解説します。

最近話題の生成AIとは?

そもそも生成AIとはいったい何なのでしょうか。生成AIとは人工知能(AI)のジャンルの1つです。「生成」という用語は、生成AIが新しいコンテンツやデータを創出、または生み出すことに由来しています。文章、画像、ビデオ、音楽などのメディアコンテンツを創出することが可能です。

たとえば文章生成AIは文章によって条件設定や要求項目、情報などを提供することで、記事や物語を書くことができ、画像生成AIは指定された説明から新しい静止画や動画を作り出すことができます。

これらクリエイティブな分野は従来ヒトのみが可能でコンピュータでは不可能とされていましたが、ChatGPTの登場により、コンピュータでしかもだれでも利用できる技術となりました。

従来のAIとは何が違う?

実際に生成AIと従来型AIの違いを表にまとめると次のようになります。表からわかる通り、生成AIは新しいコンテンツを作ることができる点で従来型のAIよりも秀でていますが、同時に大量の演算リソースを必要とすることがわかります。

生成AI

従来のAI

特長

文章や画像などのゼロから新しいコンテンツを生成できる

保有するデータの分析や予測などが可能

弱み

活用するには高性能のコンピュータで大量の演算を行う必要がある

文章や画像などの創造性を必要とする新しいコンテンツを生成することはできない

想定される

従来のAIが活躍する場に加えて、広告物の画像・動画・音声の作成や記事の文章作成など創造性が必要な場面でも活躍できる

小売店・工場の受発注管理や顧客の購買履歴の分析などデータを扱う場であれば多岐にわたる

使用される

ChatGPT、Gemni、Midjourney

GCP、AWS AI/ML

生成AI=ChatGPTではない

ChatGPTのサービスが始まったばかりのころは「生成AI=ChatGPT」という認識が世の中に広まり、今でもそう思っている人は少なくないかもしれません。生成AIにはChatGPT以外にもさまざまな種類が存在し、目的に応じて使い分けられています。

生成AIの種類

生成AIには様々な種類があります。画像生成、動画生成、文章生成、そして音声生成など様々なことが可能になっています。

画像生成AI

画像生成AIは文字通り画像を生成するAIです。作成する画像に関するユーザーの指示テキスト(プロンプト)に従って画像を生成してくれます。使用する技術としては深層学習のCNN(畳み込みニューラルネットワーク)、存在しない人間の顔などを合成することができるGAN(敵対的生成ネットワーク)、画像の潜在表現を学習し、それを基に新しい画像を生成するVAE(変分オートエンコーダ)といったものがあり、画像生成AIサービスはこれらを組み合わせ、ユーザーの指示通りの画像を生成することが可能になったのです。

文章で的確な指示を与えないとなかなか思ったような画像ができないというデメリットがありますが、実在しない風景や人物を生成AIが作ったとは思えない高いクオリティで生成できるため、いろいろな分野で利用されるようになりました。

有名なサービスとしては、Midjourneyや、OpenAIのDall-Eなどがあります。Dall-E有料版のChatGPTからも利用可能です。

動画生成AI

動画生成AIも基本的に画像生成AIと同じようにユーザーの指示に従って動画を生成します。また、一部のサービスは文章以外に、ユーザーが入力した画像や動画から新しい動画を生成することも可能です。基本的な仕組みは静止画の画像生成AIと同じですが、動画を生成するために、何枚も画像を生成します。

静止画の場合と違い、動画の場合はインターネット上で生成AIが学習できる素材が少ないため、各サービスごとに独自の技術開発を行ってこの問題点を克服しています。

たとえば、Meta社が開発したMake-A-Videoの場合、学習済みの画像生成AIモデルを活用しています。

また、現在はその多くが性能の限界により数秒から数十秒程度の動画しか作ることができませんが、Google ResearchのPhenakiのように動画をトークン(離散的特徴量)に圧縮するC-ViViTという技術を用いて、数分程度の画像を生成することに成功した例もあります。

文章生成AI

文章生成AIは大規模言語モデル(LLM)と言う技術を利用して文章作成などの自然言語処理を行う生成AIです。このモデルでは、入力文をトークンと呼ばれる最小単位に分別し、さらに各トークン間の関連性を計算し、特徴量を抽出したのちに、次のトークンを予測することにより文章を生成するという仕組みを持っています。

これにより、ユーザーがプロンプトから入力した文章に対して自然な言語で受け答えすることが可能です。

生成される文章は人間が作成した文章のように自然で、現在使用されている生成AIの中ではもっとも実用性が高く、実際にヘルプデスクなどで利用されています。

また、Microsoft社のWebブラウザのEdgeからも利用可能であり、現在はだれでも無料で利用できます。

代表的なサービスとしてはChatGPTがありますが、このほかにもGoogle と DeepMind によって共同開発されたGeminiなど様々なサービスが存在します。

音声生成AI

音声生成AIは、テキストや音声のプロンプトを入力することで、新たな音声を生成します。その音声は、特定の人の音声データを学習させ、同じ声で別の音声データを生成することもできますが、風邪をひいた鼻声なども忠実に再現可能です。また、実在しない人物の声を合成することも可能です。

すでに音声による自動案内などの分野で利用されており、代表的な製品としてはGoogle  Text-to-Speech AIなどが有名ですが、国産でもWebAPIを介してテキストを音声化する東芝のRECAIUS(リカイアス)といったようなサービスがあります。

生成AIの活用メリット

ここまで紹介した以外にも、生成AIサービスはたくさんあります。では一体、これらサービスを使うとどのようなメリットがあるのでしょうか。

業務効率の向上

生成AIを使うメリットは、なんといっても従来ヒトがやらなくてはならなかった業務を肩代わりしてくれることにより、業務効率が飛躍的にアップすることです。

たとえば文書作成機能を用いればメールや書類などのビジネス文書の作成時間が短くなる上に、既存の文書の要約や、契約書の内容のチェックなどが非常に簡単にできます。そのうえExcelのような表計算と連携すれば、データ入力の自動化やデータの整理なども簡単にできます。こういった機能を使うことで、業務効率をアップさせることができます。

また、プログラミングのコードを自動生成することもできるので、プログラマーやSEなどの業務効率も、従来に比べて飛躍的にアップします。

スキルの補完

生成AIを使えば、ユーザーが持っているスキルを効率化するばかりではなく、持っていないスキルや専門知識の活用をも可能にします。

たとえば、絵を描くスキルがないユーザーも、指示を出せば簡単な画像を容易に作成することができます。

また、外国語を話したり理解することができないユーザーでも、外国語で書かれた文書を日本語に翻訳したり、逆に日本語の文書を外国語に翻訳することもたやすくできます。

さらに、未知の領域について学習する際にも強力なサポートツールになります。たとえば、数学の問題解決方法を段階的に教えてくれたり、歴史的な事件の背景についても詳細に説明してくれたりします。

創造的な作業の効率化

生成AIを作ることにより、イラストや動画、さらには音楽なども自動的に作ることができるため、従来はヒトのみが可能であった創造的な作業を行うことができます。

たとえば、イラストや動画などの作品を作る際に、生成AIにテーマなどを教えることにより、そのイメージに近いラフデザインやプロトタイプなどを簡単に作成することができます。

また、対話機能を利用することにより、従来は人間がいなければ困難であったブレインストーミングやアイディアの整理なども可能です。

さらにプログラムの自動生成機能を使えば、簡単にアプリケーションソフトの枠組みを作ることもできるため、それらを活用することにより、ソフトウェアの開発時間を大幅に短縮することも可能です。

特定のユーザーに特化した最適化

ここまで紹介してきた機能はいずれも素晴らしいものですが、生成AIの素晴らしさはそれだけではありません。使いこなしていくうちに、そのユーザー個人にとっての最適化(パーソナライズ)ができるのも生成AIの強みです。

従来のAIは、大量のデータから学習し、一般に正しいとされる結果を生成しますが、生成AIはユーザーの過去の行動履歴、対話内容から好みや使用方法の傾向などを分析しユーザーにとって最適と思われるコンテンツを生成することができます。

そのため使えば使うほど賢く、ユーザーにとって使いやすいシステムに成長していくのです。

生成AIにも苦手なことがある?今後ヒトに求められることは?

いいことずくめに見える生成AIですが、完璧というわけではありません。苦手な分野もありますし、私たちヒトが気を付けなくてはならないこともあります。

感情の理解と共感の表現

そもそもAIには感情がありません。ヒトのように会話をしても、それはプログラムによって情報を処理し、パターンを識別しているためで、ヒトのように感情の細かいニュアンスや共感を完全に理解しているわけではないのです。そのため細やかな感情の機微のようなものは伝わりません。

そういったこともあり、心理学、カウンセリング、社会福祉など、ヒトの感情を深く理解し、適切な感情的サポートを提供する必要がある職業では、ヒトの役割が引き続き重要です。

ゼロから何かを生み出すこと

科学、芸術、文学などの分野で新しい理論や作品を「ゼロ」から生み出し、文化を形成することは今後も相変わらずヒトの独擅場でしょう。

というのもこれもすでに説明した通りAIは特定のパターンや既存のデータから新しいアイディアやアートワークを生成するのが得意であるため、たとえば「ゴッホの絵画のような画像を作ってほしい」と言われればそのような画像を精巧に作ることはできますが、絵画のテーマ自体を創造したり、新しい画風を生み出すようなことはできません。

倫理的判断と意思決定

AIには感情がないことはすでに述べましたが、それゆえに倫理観も存在しません。「感情や倫理らしきもの」を後からプログラムで追加することはできますが、現在の生成AIは、まだ複雑で多面的なヒトの価値観や社会規範を理解し、それをもとに判断できるわけではありません。

そのため法律、ビジネス倫理、政治などの分野では、AIを利用しても最終的にはヒトが介入し、倫理的な観点から最終的な意思決定を行うことが求められます。

今後、ヒトに求められることとは?

このように今後ヒトには、AIにはできない、他者の感情に寄り添い共感することや、創造性を以て新しいモノを生み出すこと、倫理的判断を行い意思決定することが求められます。

企業として生成AIを導入するにあたっては、生成AIを扱う技術者を雇うのみならず人事部門や経営者もこれまで説明したような生成AIでできることや苦手な分野を理解した上で、社内のどの部門にどのように導入するのか、そしてその先のAIと共生する時代にマッチした採用計画・人材育成・経営企画などを考える必要があります。

生成AIの導入・活用事例

最後に生成AIが実際にどのように導入・活用されているのかを事例を見てみましょう。

大手カフェチェーン店

大手カフェチェーンのA社では、モバイル決済システムと連携した生成AIのチャットボットを作成し、ブレンドの調整等の細かなオーダーを口頭で処理できる生成AIシステムを構築しています。これにより、店員の負担を減らすとともに、顧客満足を上げることを目指しています。

チャットボットを活用している企業はたくさんありますが、大変ユニークな活用方法と言えるでしょう。

老舗ソフトウェアメーカー

クリエイター向けのさまざまなソフトウェアやツールを提供するB社は、近年これらツールに生成AIを組み込み、ユーザーが迅速にデザイン作業を行えることを目指しています。

たとえば画像加工ソフトに組み込まれた生成AIを利用すると、テキストによる指示で画像を生成できるばかりではなく、画像にオブジェクトを簡単に追加、削除できます。

これにより、バナーなどの作成が比較的容易になり、簡単なものであればデザイナーに外注することなく自社内で作成することができます。

大手通信教育事業会社

通信教育事業を手掛けるC社は、小学生向けに自由研究のテーマを決めるためのアドバイスを返してくれるチャットボットサービスを開始しました。子供が学年や自由研究にかけられる時間、さらに興味のあるジャンルといった情報を入力すると、適切な自由研究のテーマのヒントを教えてくれます。

我が社でも生成AIで業務を効率化したい!業務に活かすための方法は?

ここまでの話から、実際に生成AIを自社でも使用したいと考えるようになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。現在では生成AIを活用したサービスが次々と登場しています。

生成AIを使うなら、最初は無料版のサービスでスタートするのがおすすめです。おおよそのイメージがわかってから、本格的な導入を検討していきましょう。

生成AIの商品やサービスに関する情報を得るには、サービスを提供している企業に直接聞いてみるのが一番です。その際おすすめなのが展示会です。生成AIサービスを提供している企業が集まる展示会もあるため、ブースを訪れて情報を収集し、直接話を聞くことで、多くのヒントを得ることができます。

まとめ

ここまで生成AIについて説明してきました。この技術は今後間違いなく世の中に大きな変化をもたらすといえます。ビジネスでの活用を検討されている方は、まずは小さな課題解決を目標に試験的に利用を開始し、そこからさらに規模や範囲を拡大していくとよいでしょう。

企業で利用する場合はその過程を通じて生成AIを活用できる人材を育成すると、企業の強みとすることもできます。こうしたプロセスをより効果的に進めるうえでも、まずは実際にサービスに触れることができる展示会で情報収集してみてはいかがでしょうか。

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また、業界のトップ企業経営陣が最新の事例やトレンドを講演する特別セミナーも併催されます。実際に生成AIを活用するトップ企業の生の話を聞き、自社の導入への意欲も高まるかもしれません。

展示会HP:AI World

●亀田健司

シフトシステム代表取締役、広島工業大学非常勤講師

大学院卒業後に大手家電メーカーで研究職として就職しロボット・画像技術などの研究を進め、その後独立。現在は技術教育、書籍の執筆などをこなすとともに企業のDX推進やAI技術の導入などをサポートするコンサルティング業務を行っている。

初心者向けの教育にも力を注いでおり、C言語やJava言語などのプログラミングを学べる「一週間で学べる」シリーズなどのウェブを運営するほか、AIやデータサイエンス人材の育成に力を入れている。